病気や障害を持つお子様との暮らしにおいて、日々のケアは親御様にとってかけがえのない時間であると同時に、多くの課題や悩みを伴うものでもあります。
今回は、ミトコンドリア病(Leigh症候群)[注釈] を抱える2人のお子様を在宅でケアされている神山様にインタビューを行いました。日々の食事療法や体調管理の工夫、そして採尿サポートパッドゆらりす®︎を導入してからの変化について、リアルな体験談をお伺いしました。
聞き手:河村(株式会社ゆらりす)
話し手: 神山様(Leigh症候群のお子様を持つお母様)
本記事の要約
- 在宅ケアの現実: Leigh症候群の2児をワンオペでケアする日々。食事療法や体調管理において、尿検査は重要なバロメーターとなっている。
- 採尿の課題と変化: 従来の「肌のかぶれ」や「朝のプレッシャー」といった苦痛が、ゆらりす導入により「肌への優しさ」と「待てる余裕」へと変化。
- 継続の理由: 単なる利便性だけでなく、「同じ悩みを持つ家族の役に立ちたい」という想いから、開発協力・継続利用を選択している。
2人の子供たちと向き合う、在宅ケアの日常
河村:まず、お子様たちのことや、普段の生活について教えていただけますか?
神山様:現在12歳の娘(まかな)と、9歳の息子(りお)がいます。二人ともミトコンドリア病の一種である「Leigh(リー)脳症」という病気を持っています。
症状としては運動障害やてんかん発作があり、日常生活のあらゆる場面で介助が必要です。
現在は私が一人で二人を見る、いわゆる「ワンオペ」の時間も多く、それが日々の生活の中で一番大変な部分ですね。特に家での過ごし方が悩みで……。弟のりおは体を動かしたいタイプなんですが、お姉ちゃんのまかなは静かに絵本を読むのが好きなんです。二人のニーズが違うので、家の中で同時に二人を満足させてあげるのがなかなか難しくて、いつも試行錯誤しています。
河村:お二人同時にそれぞれのケアをするのは、本当に大変なことだと思います。そんな中で、喜びを感じるのはどんな瞬間ですか?
神山様:そうですね……こちらからの一方的な声かけに対して、子供たちが笑ってくれた時でしょうか。
特にまかなは、弟よりも発症時期が遅かった(2歳頃)分、病気の進行で「できなくなること」が目立ってしまうこともありました。だからこそ、彼女の感情がわかるとすごく嬉しいんです。お風呂に入っている時の表情だったり、機嫌が悪くて怒っている時だったり、時には歌を歌うような様子を見せてくれたり。
「あ、今日は笑ってくれたな」と感じると、それだけで「今日は体調が良いんだな」と安心できますし、親としても幸せを感じます。
りおに関しては、今までできなかったことが少しずつできるようになったりする成長が見られると、やっぱり嬉しいですね。
食事療法と、体調のバロメーターとしての「検査」
河村:普段のケアでは、食事管理にもかなり気を配られていると伺いました。
神山様:はい。Leigh症候群の治療の一環として、特定のアミノ酸(バリン)を制限する食事療法を行っています。
バリン、ロイシン、イソロイシンを除去した特殊ミルクを使ったり、低タンパク質の食事を徹底したりしています。実は、この低タンパク療法を始めたのは我が家がかなり早い方だったみたいで(笑)。
7年くらい前かな、当時の主治医の先生が「バリンが悪さをしているのではないか」とおっしゃって、試してみたら数値が改善したんです。それからメニューを工夫する毎日です。
河村:その食事療法の成果や体調の変化を確認するために、定期的な検査が欠かせないわけですね。
神山様:そうです。二人はそれぞれ2ヶ月に1回のペースで、経過観察のための検査入院をしています。そこで血液検査と尿検査を行います。
検査結果は、その場ではなく次の診察の時にまとめて主治医から聞くことが多いですね。
最近だと、検査で二人とも「セレン」というミネラルが足りていないことがわかったんです。それまでは特に目立った体調の変化はなかったんですが、検査結果を受けてサプリメントで補うようにしたら、数値が改善しました。
子供たちは自分で「ここが調子悪い」とは言えませんし、数字で見るだけでも分からないことが多いので、主治医に説明を受けて初めて気づけることも多いんです。
河村:学校の検診などでも尿検査はあると思いますが、どのように活用されていますか?
神山様:学校では年に1回検診があります。ただ、結果が「異常なし」といったざっくりした内容で返ってくることが多いので、親としては「せっかく大変な思いをして採尿したんだから、もう少し詳しい情報が欲しいな」と思うこともありますね(笑)。タンパク以外の数値もわかれば、日々の体調管理にもっと役立てられるのにな、と。
「肌が赤くなるのが可哀想だった」従来の採尿の悩み
河村:その「採尿」についてですが、「ゆらりす」を使う前はどのようなご苦労がありましたか?
神山様:以前は、一般的な粘着テープ式の採尿バッグを使っていました。でも、これが本当に大変で……。
まかなの場合は、バッグの隙間から尿が漏れてしまうことがあって、何度もやり直しが必要でした。
りおの場合はもっと大変で、装着しようとすると暴れてしまって(笑)。足をバタバタさせて蹴られたり、せっかくつけても動いて剥がれてしまったり。
何より辛かったのは、失敗して貼り直すたびに、子供たちの肌に負担がかかることでした。テープを剥がすと皮膚が赤くなってしまって。3回も失敗すると、もう肌が真っ赤になって痛々しくて……「これ以上やるのは可哀想だな」と心が折れそうになることもありました。
それに、採尿バッグだと「朝起きてすぐに採らなきゃいけない」というプレッシャーもありました。忙しい朝の時間帯に、失敗しないように焦りながら装着するのは、精神的にも負担が大きかったですね。
「ゆらりす」導入で見えた、朝のゆとりと安心感
河村:「ゆらりす」を使い始めてから、そういった悩みはどう変わりましたか?
神山様:劇的に変わりましたね。一番良かったのは、肌荒れの心配が一切なくなったことです。
「ゆらりす」はテープで貼り付けるのではなく、おむつの中にパッドをセットする形(マジックテープ固定)なので、皮膚への負担がありません。もし位置がずれても、何度でも簡単に直せますし、子供たちの肌が赤くなることもなくなりました。これだけでも親としては本当に安心です。
河村:採尿の「成功率」や、手順の面ではいかがでしょうか。
神山様:まかなは確実に採れるようになりましたし、りおも装着に少しコツは要りますが、おかげでちゃんと採れるようになりました。
おむつのギャザーに合わせて、まかなは少し下の方に、りおは股上にフィットさせるように……といった微調整も、「ゆらりす」なら簡単です。
それと、「時間を置ける」 というのがすごく大きいです。
以前のパックだと「装着したらすぐにおしっこを待つ」という感じでしたが、「ゆらりす」なら夜寝る前におむつの中にセットしておけばいいんです。そうすれば、朝起きた時には自然に採れていることが多い。
「朝イチの尿を逃さないように!」と焦って起きて、バタバタとパックを装着する必要がなくなりました。もし朝出ていなくても、焦らず新しいおむつに交換して待てばいい。この「待てる」という余裕ができたことで、私の朝のストレスが本当になくなりました。
「困っている人の役に立ちたい」使い続ける理由
河村:神山様には毎月継続してご利用いただいていますが、その理由を改めて教えていただけますか?
神山様:やはり、「朝イチの尿を確実に採れること」と「肌への負担がないこと」。この2つの安心感があるからこそ、使い続けています。
それと、最初は「便利そうだな」と思って使い始めたんですが、モニターとして参加することで、開発のお手伝いができるという点も理由の一つです。
私たちが使って感想を伝えることで、製品がより良くなって、同じように採尿で困っている他のご家族の役に立てるなら……という想いもあります。せっかく毎月採尿する機会があるんですから、それが誰かの助けになるなら嬉しいですよね。
河村:最後に、今後「ゆらりす」に期待することがあれば教えてください。
神山様:今のところ、不満な点は特にないです。
強いて言えば、子供の体型によっておむつのサイズが変わるとフィット感が変わるので、そこは工夫が必要かなと思います。我が家でも、隙間ができないようにあえて小さめのおむつを使ったりと試行錯誤していますが、そういったノウハウも含めて、これからも一緒に良いものにしていければと思います。
河村:本日は貴重なお話をありがとうございました。神山様の実体験や「困っている人の役に立ちたい」という温かいお言葉を伺い、大変励みになりました。
編集後記
神山様のインタビューを通じて、医療的ケア児の在宅生活において「採尿」という一つの行為が、いかに親御様の精神的・時間的な負担になっていたかが浮き彫りになりました。
「失敗しても肌が荒れない」「夜のうちに準備できる」
そんな「ゆらりす」の特徴が、単なる検査キットとしてだけでなく、神山様の「朝のゆとり」や「お子様への優しさ」を守るツールとして役立っていることを、大変嬉しく思います。
「困っている人の役に立ちたい」とおっしゃってくださった神山様のお気持ちに応えられるよう、私たちも引き続き、現場の声に耳を傾けながら製品の改善に取り組んでまいります。
注釈
Leigh症候群: Leigh症候群は、細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアの働きがうまくいかないために、主に脳幹や大脳基底核が障害される進行性の神経変性疾患です。発症は乳幼児期に多いですが、思春期以降での発症例もあります。発達の退行や筋緊張低下、運動失調、嚥下や呼吸の障害、てんかん発作などがみられます。代謝ストレス(感染や手術など)をきっかけに悪化することがあります。
Leigh Syndrome: A Comprehensive Review of the Disease and Present and Future Treatments



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